SXSWは今年30周年を迎えた。
1987年に音楽のイベントとしてスタートしたSXSWは、その7年後、94年にFilmとMultimediaの2つの分野が追加され、99年にMultimediaがInteractiveと改名される。
2000年代後半になると、TwitterやFacebook、FoursquareといったSocial Network, Social GameのPlayerが登場する。2011の311では、日本に対する多くの支援が募られたこともあり、日本国内に於ける知名度もこのころから上がり始めた。
で、思うのが、ChaosとGoodwillがSXSWのキーワードになるのかということ。Goodwillというより Good Faithと言った方が適切なのかもしれないが。
まずChaosについて。
SXSWは、なんでも受け入れてしまう。
もともとIndees系の音楽イベントだったものが、FilmやMultimediaを吸収するようになった背景を考えてみた。2000年頃からインターネットの帯域が増え、ネット上に新しいプラットフォームが次々に登場した。これがはまさにInteractiveがいろいろなものを包含する仕掛けとなった。例えばYouTubeと音楽、例えばVoDとFilmみたいな話。そこにiPhoneやアプリやゲームが加わり、さらに組み合わせが広がった。要素技術であったとしても、プラットフォームに組み込まれることで新たなサービスやビジネスモデルが生まれる。このカオス感がSXSWなのだと思う。技術を持つ側、利用する側、それぞれが集まって、VR/ARから医療、教育、環境、エンターテイメントとあらゆることについて様々なグラニュラリティで語られる。
次にGoodwillについて。
SXSWは、イノベーションをテーマにしながらも、社会をより良くしたり、変革させたりするために、技術やアイデアを利用しようという意識が強く働いているイベントである。新たなテクノロジーの登場により、新たなソーシャルビジネスのフレームワークが可能になる。その背景には、取り残されかけていた南部を、音楽を契機として再生させるというイベントの成り立ちが深くかかわっているように感じた。実際、SXSWの会期中つぶやかれていた言葉のNo.1がSocial Businessで2位のAR/VRを大きく引き離していた。
ちなみに写真は、日本からのExhibitorのFukushima Wheel。15cmくらいの箱を自転車に付けて放射能に加え風速、方向、温度、湿度などを計測するだけではなく、マネタイズの仕掛けとして車輪に仕込んだLEDで広告を表示する。自治体が主体となって実施している自転車ビジネスがなかなか黒字化しない状況をにらみ、マネタイズ+環境のアプローチで付加価値向上を提言している。もちろん、この背景にはバルセロナでの試みもあるみたいだ。なんかこういうのってちょっとワクワクする。